精子の穴にご注意!!
Q:
夫の精子が不良で顕微体外受精を10回以上施行しましたが、一度も妊娠に至りません。夫の治療も5年以上並行しているのに一向に改善の兆しはなく、今後どうしたらよいか分かりません。
A:
すべての妊娠は精子の良し悪しで決まります。妊娠に有効な精子は全精子の5%程度で、寿命は最長で36時間、最短は0秒。当然ですが精子が健常なほど長生きしますし悪ければ短命です。そして、射精能力は精神面と密接に関係しているので状況によりばらつきがあるのです。
悪い精子は特殊な顕微鏡で観察すると精子頭部に穴(CD)があります。穴の大きさや深さによって受精能力や染色体形成をつかさどる機能が壊れており、たとえ妊娠できたとしても染色体異常児が誕生する確率が高くなります。正常な精子は穴がありません。
当院では、受精可能な精子をピックアップする精子洗浄法において、従来は穴がないもしくは小穴の精子のみを回収し人工授精や体外受精に使用してきましたが、精子不良の場合ほとんど回収できず妊娠できませんでした。
このほど完成した新洗浄法では、中穴、大穴でも受精―妊娠に悪影響がない精子を回収できるようになり精子不良でも救われる例が出ています。もちろん、それでも一匹も回収できない人もいます。その場合は今後の治療についてカウンセリングすることをお勧めします。
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不妊治療Q&A 精子