受精卵取り違えミスのない培養器
Q:
先日報道された受精卵取り違えの件について質問です。私は不妊症歴10年で体外受精を8回施行し、幸い二児に恵まれましたが心配です。貴院ではどのようにミスを防ぐ工夫をしていますか。
A:
通常、受精卵はシャーレに入れて大型冷蔵庫くらいの大きさの培養器で保存し、体外受精の間際で取り出して患者さんに戻します。受精卵が空気に触れる時間をできるだけ短くするためスピード勝負です。シャーレには記名したシールを張ります。まさか消える恐れがあるマジックだけで書くところはないでしょう。体外受精の件数が多い時期は一つの培養器にいくつもシャーレが入れてあるので、医師や胚培養士の業務が繁雑になると受精卵の取り違えもあるかもしれません。
体外受精を行う病院はここ10年で急増し、その数は今や日本が世界一といわれています。どの診療科でも手術件数が増えればミスの確率も上昇するように生殖医療も例外ではありません。人間がすることですからミスは避けられないことと思いますが、受精卵の取り違えで赤ちゃんが生まれた場合、後々その事実を知った家族の悲しみは計り知れませんし許し難いことです。
当院では患者さん一人に一つの小型培養器を使用しているため取り違えの心配はありません。今後は使い捨ての小型培養器導入を検討していますが、コストが上がるのが難点です。
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