不妊症に有効な子宮鏡
Q:
不妊歴5年の妻33歳、夫35歳です。超音波断層法で子宮内のポリープが疑われ、子宮鏡検査を勧められました。どんな方法なのでしょうか。
A:
子宮鏡とは胃カメラのように子宮内腔の状態を鮮明な画像で映し観察するもので、直径5㍉ほどのCCDカメラが装着された細いチューブ管を膣から子宮口に挿入し観察します。子宮が超屈曲していたり発育障害等がなければ苦痛や副作用はありません。欧米では不妊症検査の一つとして普遍的に行われていますが、まだ日本では実施機関が多くはありません。
不妊治療を定期的に一年以上続けている人でいまだ妊娠できない場合、女性側の原因は子宮内着床障害、男性では精子受精障害がほとんどです。
当院で子宮鏡を実施した500症例中300症例は正常所見で、異常所見は子宮内膜ポリープ30%(その疑い10%)、子宮筋層内筋腫8%(疑い4%)、子宮粘膜下筋腫6%(疑い1%)でそのほか子宮内膜過形成、子宮内膜増殖症、子宮奇形などです。年齢別にみると子宮粘膜下筋腫や子宮筋層内筋腫は35歳以上での発見率が高く、ポリープや過形成、増殖症、子宮内膜腺筋症は年齢による差はありませんでした。
異常が発見された場合、ポリープや小さい粘膜下筋腫はお腹を切らず子宮鏡を使った簡単な手術で切除できます。また、軽度な過形成や増殖症も子宮内清掃法というやはりお腹を切らない子宮鏡を使った膣からの手術が簡単にできます。中等度以上なら以前ご紹介したLNG―IUSミレーナ(子宮内装着黄体ホルモン配給装置)で治療できます。