予防できる子宮頸がん
Q:
がんの中で子宮頸がんは唯一予防できると聞いています。詳しく教えてください。
A:
子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんの2種類あり、子宮頸がんは子宮の入り口付近のがんです。原因はヒトパピローマウイルス(HPV)という人間の皮膚や粘膜に存在するありふれたウイルスの感染で、主に性行為で感染するため多くの女性が一生に一度は感染します。
中でも発がん性HPVは15種類ほどあり、ほとんどの子宮頸がん患者から見つかるのが16型と18型です。発がん性HPVは感染しても多くの場合が自然に排除されますが、何度でも感染するのが特徴で、感染状態が長く続くとがん化する場合があります。
昨年、日本でも子宮頸がんワクチンが承認され今年から全国的に接種が始まりました。HPV感染による前がん状態や子宮頸がんを発症していなければHPV16型・18型の感染をほぼ100%防ぐことができます。性行為を体験する前に接種するのが望ましく、ヨーロッパの一部では小学校高学年から中学生のうちに義務的な予防注射として接種されているためほとんど子宮頸がんはありません。もちろん成人女性にも効果はあり、ワクチンは合計3回の接種が必要です。副作用はインフルエンザワクチンと比較してほとんどありません。
子宮頸がんは20~30代女性に急増中で、妊娠・出産の可能性を脅かし、命を奪うこともあります。これだけ医療が発達していて日本は先進国の中でも子宮頸がん患者が多く、20~30代女性では最も死亡率が高いです。少なくとも20歳を過ぎたら定期的に検診を受けましょう。子宮頸がんは若い人に多いと心得てください。
当院でも子宮頸がんワクチン接種(予約制)を承っています。