不妊治療のあきらめ時
Q:
妻42歳、夫48歳でこの15年間に人工授精50回以上、体外受精と顕微授精を計20回以上行いましたが流産2回、ほかは妊娠に至っていません。費用は1500万円を超え経済的にも気力も限界です。今後どうすればよいでしょうか。
A:
血液中のホルモン値が更年期を示したり早期がんなどが疑わしければ、医師として体力的なことから治療の限界を宣告することもあります。しかし、経済的・精神的な問題では、アドバイスはできても治療の継続を最終的に決断するのは患者さんご自身です。
体力面では、更年期に入っても不妊治療を熱望する人に下垂体ホルモン抑制剤や多量の排卵誘発剤を利用して卵胞をつくり、体外受精(IVF)を実施してもすべてに良い卵子を採取できませんでした。もし、妥協して悪い卵子でIVFを行い受精・分割・発達が起こったとしても、この受精卵を子宮内に戻してよいか考えてしまいます。赤ちゃんの染色体異常発生率が高くなるからです。このような状況では治療は限界です。
次に精神面では夫の支えが不可欠。人生は子どもがすべてではなく、趣味や旅行など夫婦二人の楽しい生活があることを話し合いましょう。夫婦で落ち込むのはよくありません。経済面では確かに不妊治療にかかる患者の負担は多大です。
2010年12月12日(日)につくば国際会議場で開く不妊症市民公開講座では、助成金増額や保険適用拡大の要望書を国会に提出している不妊患者支援団体・NPO法人Fineピアカウンセラーで不妊体験者の辻英美さんも講演します。ご聴講ください。