不妊精密検査と治療のSTEP UP
Q:
不妊歴4年の妻36歳、夫37歳で、妻の不妊検査と夫の精液検査、フーナーテストは異常なく、毎月の通院で正確な排卵日を調べてもらい性交のタイミングを合わせて1年以上になります。次の治療を考えていますが、人工授精から始めるか、いきなり体外受精に進むか、それとも精密検査を行うべきでしょうか。
A:
不妊原因がはっきりせず人工授精や体外受精に進む同年齢の夫婦は非常に多いです。治療をステップアップして妊娠すればそれに越したことはありませんが、それでも妊娠に至らない場合は精子や卵子の精密検査が必要でしょう。
「精子精密検査」は受精能力や染色体状況、受精卵の分割補助機構などを調べ、「卵子精密検査」は体外受精同様に卵巣から卵子を採取し卵子をとりまく透明体や実質(鶏卵で言う黄身)細胞、染色体状況などを観察します。いずれも妊娠能力や流産・異常児の危険性など不妊の重症度が詳細に分かります。
しかし、精密検査の費用がとても高価なため、ほとんどの患者さんが治療を優先するのが現状です。また、体外受精の方が人工授精より成功率が5~6倍高いのですが、いきなりの体外受精では採卵や胚移植の際極度に緊張してスムーズに治療できない場合もあります。
通常は人工授精を数回試して体外受精に進むことをお勧めしますが、37歳ごろから卵子の老化が始まるため体外受精を先行した方がよい場合もあります。
また、12月16日(日)に不妊症市民公開講座をつくば国際会議場で開催します。こちらの記事で当日のプログラム等の詳細をご紹介しています。ぜひお越しください。