卵巣・卵子の質は加齢で低下
Q:
不妊歴4年の妻40歳、夫42歳で体外受精と顕微授精を計3回受けましたが妊娠に至りません。いずれも受精や胚の発達は良好で、子宮内膜や黄体機能の検査も異常なく着床障害はありません。原因は老化といわれました。詳しく教えてください。
A:
医療が発達した現代ですが、寿命は延びても女性が妊娠できる期間は昔と変わりません。「美魔女」のように見た目が若くても女性の妊娠力のピークは20代前半~34歳で、それ以降は妊娠率が低下し流産率が高くなります。
その理由として加齢に伴う卵巣機能や卵子の質の低下があります。体外受精においてはまず排卵誘発剤に対する卵巣の反応が鈍くなります。
つまり薬が効きにくくなるため卵子の成長が遅れ質の低下が起こります。また、卵胞刺激ホルモンと排卵ホルモンを分泌する脳下垂体と卵巣の連携も乱れます。
次に高齢になると女性の卵子は染色体を含む細胞質に乱れが見られる場合があります。細胞質が乱れると染色体に傷が付きやすくなります。
若いうちは染色体の修復能力が高いのですが、高齢になるとその力が弱くなり子宮の着床機能が良好でも着床が不完全になったり胚の発達が止まることがあります。また、染色体に傷が付いたまま妊娠に至った場合は流産か出生児に異常が生じることがあります。
しかし、高齢だからといってすべての卵子の質が悪くなるわけではありません。良好な卵子を採取できることもあるので希望を捨てず粘り強く治療を続けることが大切です。