抗精子抗体
Q:
結婚1年の妻37歳、夫42歳です。最近、妊活を始めたところ抗精子抗体の疑いが見つかり、人工授精や体外受精を勧められています。自然妊娠を強く希望していますが無理でしょうか。抗精子抗体についても教えてください。
A:
抗精子抗体は精子に対する抗体で、この抗体が女性の体の中でつくられると精子の受精能力や運動能力などを阻害します。抗精子抗体は多種あり、精子にくっつく抗体なので「精子結合抗体」とした方がよいかもしれません。中には精子に無害な抗体もありますが、精子のどこに抗体が結合するかでさまざまな障害をもたらします。
精子は頭部と頸部(ミトコンドリア含む)、尾部(運動能力)に分かれ、さらに頭部は前頭部(受精能力)、赤道部(受精・胚発達に関係)、後頭部(染色体含む)に分かれ、それぞれに役割があります。そのどの部位にも抗体は結合し、各部位単独または精子全体に結合します。
例えば前頭部に結合すれば受精能力が阻害され、後頭部なら染色体異常が生じ、頸部はミトコンドリアを含むため精子の活動寿命が低下(死滅傾向)し、尾部では卵子にたどり着く運動能力が阻害されたりします。
また、抗精子抗体には強度・中度・弱度と強さの強弱があり、中度以降でそうした障害を引き起こします。精子全体に強い抗体が結合すると体外受精でも妊娠は厳しくなります。
軽度の抗体は自然消滅することもあれば重症化することもあり、ご質問者様の年齢を考えると体外受精か顕微授精がベストだと思います。
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