新型コロナウイルスの変異株、ワクチンの有効性について | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

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新型コロナウイルスの変異株、ワクチンの有効性について

 

新型コロナウイルスは、最近では様々な変異株が報告されております。また、当院へ通院される患者様でもワクチン接種をされる方が増えてきており、ワクチンに関するご質問を多く頂きます。

今回は最近よく議論されている変異株の種類や特性と、それらに対するワクチンの有効性についてご説明いたします。

①イギリス変異株(B.1.1.7)

2020年9月に英国で最初に確認され、CDCでは「懸念される変異株」として分類されています。感染力は従来のCOVID-19よりも強いですが、重症化リスクが高いかどうかは不明とされています。しかし最近の報告では入院と死亡の増加につながる可能性があることが示されています。

ウイルスのスパイクタンパクにN501Yという変異をもち、最近では関西などで急増している変異株です。

 

②南アフリカ変異株(B.1.351)、ブラジル変異株(P.1)

イギリス変異株に続いて発見され、N501Yに加えE484Kというスパイクタンパク変異をもち、①同様感染力が強く、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が示唆されています。

 

③インド変異株(B.1.617)

CDCで「懸念される変異株」と見なされ、インドで最初に確認されてからアジアを中心に拡大しています。この変異株は、①や②のようなN501Yスパイクタンパク変異はもちませんが、変異としてE484Q、L452Rなどの複数の新たな変異を有しており、現在注目されている変異株です。特にアジア系人種について免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されています。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/variant-surveillance/variant-info.html

 

https://www.bbc.com/news/health-55659820 一部改変

 

現在、医療従事者、高齢者とワクチン接種が開始されておりますが、これら変異株に対しての有効性はあるかどうかは議論が分かれております。

 

5月13日に発表された南アフリカの研究では、一度新型コロナウイルスに感染して得た自然免疫とワクチン接種により獲得した抗体(中和抗体)に対して変異株がどのように影響するか調査しています。

イギリス型は、自然免疫の軽度の活性低下を示しましたが、南アフリカ型に対しては自然免疫による抗体は約48%の患者で効果がありませんでした。

また、各社ワクチンによる免疫に対しイギリス型では中和抗体活性のわずかな低下を示しました。そして南アフリカ型でも5やはり中和抗体活性の低下を示しました。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2100362

 

 

これに対してイスラエル同様にイギリス型と南アフリカ型がファイザー製ワクチンの免疫を回避する可能性について調査しました。結果としては、ワクチンはイギリス型には高い効果があるものの、南アフリカ型はワクチン接種したにも関わらず感染する可能性があることを示唆しています。しかしこの調査は2回目のワクチン投与から7日以上後に記録された感染に基づいていますが、一部の被験者は、免疫が完全に確立される前に感染した可能性があるとされています。

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.04.06.21254882v1.full-text

 

さらに最近では、横浜市立大学にて日本人のワクチン接種者111名(未感染105名、既感染6名)を対象に、日本で報告される様々な変異株に対してファイザー製ワクチンの有効性について調査しました。

結果としては、未感染者でワクチン2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保有し、N501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジル株)に対しても、90~94%の人が中和抗体を有していました。

さらにインド由来の株に対しても中和抗体陽性率が低下するような傾向は見られなかったとしており、すべての変異株に中和抗体陽性であった人は全体の約9割であったと報告しております。

https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20210512yamanaka.html

 

このように変異株に対するワクチン接種の効果の議論は様々ですが、これらの調査報告・研究や、不妊治療に従事する私達より患者様へお伝えできることを下記にまとめます。

 

・現在増加中の変異株はいずれも感染力が高いが重症化するかどうかは個人差がある

・一度感染した場合でも他の変異株に感染する可能性は否定できない

・ワクチンによる免疫効果を回避して感染する変異株もある可能性があるが、現時点ではCOVID-19感染拡大防止に対してはワクチン接種が有効である

・妊娠後にCOVID-19に感染し重症化することを防ぐために、妊活前の方や妊娠後でもCOVID-19感染リスクがある状況下の方はワクチン接種をすべきである

 

当院は新型コロナウイルスと不妊治療・妊娠の関係性などについても正しい情報を発信するよう心がけております。詳しくはお知らせ欄またはHP内の「Q&Aコーナー」をご参照ください。

・新型コロナウイルスのワクチンと妊娠について

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210430/4027.html

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210117/3929.html

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210314/3996.html

・新型コロナウイルスワクチンの種類について

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210214/3963.html

・新型コロナウイルス感染と妊娠への影響について(各国情報のまとめ)

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210419/4015.html

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210106/3908.html

・新型コロナウイルス(COVID-19)感染メカニズムと生殖について

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200516/3507.html

・妊娠中の新型コロナウイルス感染による影響について

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200815/3660.html

・うがい薬と不妊についての関係

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200805/3642.html

・紫外線による空気除菌での新型コロナウイルス対策について

https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20201127/3851.html

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