卵子凍結とはどういうものですか?
卵子凍結 キャリア形成 妊孕性 卵巣予備能
卵子凍結(未受精卵凍結)には2種類あります。
1つは加齢による卵巣予備能低下を予防するために、高齢になる前に採卵し未受精の状態で卵子のまま凍結するものです。卵子凍結の適齢期は20-30代が一般的ですが、卵巣予備能は個々の患者様で異なることや、ライフコースによっても変化するため、患者様各々と個別に対応する必要があります。
加齢による卵子減少のイメージ
もう一つは、悪性腫瘍(がんなど)や自己免疫疾患などに罹患した女性に対しての外科的療法、化学療法、放射線療法が卵巣機能を低下させる場合、妊孕性を保つために治療前に採卵し未受精の状態で卵子のまま凍結するものです。こちらもその疾患や治療を原疾患の主治医と相談しながら、患者様各々と個別に対応する必要があります。
悪性腫瘍による卵子減少のイメージ
ここからは社会的卵子凍結に関して詳しく解説します。
まず、卵子を含む原始卵胞の数はまだ生まれる前の胎児期に最大となり、その後は出生、思春期、成人と年齢を重ねるにつれて減少していく一方です。
また、加齢により卵子の染色体異常も増えていきます。20-24歳をピークとしてその後妊孕性が低下すると言われており、これは卵子の量やQualityの低下によるものと考えられます。
参照:Maroulis GB. Effect of aging on fertility and pregnancy. Semin Reprod Endocrinol. 1991;9:165‐175.一部改変
したがって、卵子の量やQualityが低下する前に採卵を行う必要があります。ちょうど20-30代で仕事のキャリア形成が進むことが多いと考えられます。つまり、妊孕性が最も保たれてはいるが、卵巣予備能の低下が起こり始める頃がちょうど仕事のスキルが向上し、仕事の範囲が拡大するような時期と重なると考えられます。
社会的卵子凍結はそのような時期までに採卵、卵子凍結を行い、妊娠する時期を任意で遅らせることが可能になる医療技術です。
卵子凍結をご希望される患者様は、まずは医師にご相談してください。卵子凍結に関してのセミナーのご案内をさせて頂きます。
※2024年1月時点では卵子凍結(未受精卵凍結)はつくばARTクリニックのみで行っております。
社会的卵子凍結とキャリア形成のイメージ
※年齢や仕事の進行度は各職種で異なりますので、青い矢印の進み方はあくまで参考と考えてください。