体外受精の排卵誘発(3)
Q:
不妊歴6年の妻38歳、夫40歳で、体外受精を6回実施し1回は妊娠に至りましたが流産でした。再度受けたいのですが、排卵誘発のための連日の注射や採卵後の卵巣腫大で体調を崩してしまいました。体への負担が少ない排卵誘発法はありませんか。
A:
体外受精では排卵誘発の注射を平均8~10日間続けるので、通院だけでも肉体的・精神的に負担が大きいと察します。仕事があれば職場の理解も必要ですからなおさらです。
排卵誘発の自己注射も普及してきましたが、現在はFSH製剤しかないのでFSH値が高い人や卵巣機能低下症の人には不向きです。
一方、採卵数が少ないというデメリットはありますが体への負担も少ない排卵誘発法ではクロミフェンを内服する「卵巣低刺激法」やサプリや漢方で卵胞の成長を目指す「自然法」があります。低刺激法では内服に注射を数回加える場合もあります。
薬の服用は月経2日目から5日間。卵の成長具合によっては採卵2日前まで服用します。排卵抑制の点鼻薬は使わないため採卵前に自然排卵してしまう欠点もありますが、卵胞の成長やホルモンの状況によっては座薬で排卵を防ぎます。採卵個数は平均2~3個です。
自然法は、採卵数は1個もしくはゼロの場合もありますが、体への負担は全くありません。近年は自然法か低刺激法を用いるのが世界的な傾向で、採卵手術も基本的に麻酔なしでできます。
しかし、連日の注射法では平均5~10個採卵できるので、卵子を凍結保存できるメリットもあります。
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