新型コロナウイルス(COVID-19)について
新型コロナウイルス(COVID-19)について
・ウイルス学的特徴
コロナウイルスはプラス鎖一本鎖のRNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスです。エンベロープとはウイルスを形成する膜状の構造物です。
ウイルス粒子は直径 約100-200 nmであり、ゲノムRNAは約3万塩基とRNAウイルスの中で最長です。(参照:日本ウイルス学会)
・臨床的特徴
飛沫感染や接触感染はありますが、空気感染はしないと言われています。
本感染症の潜伏期は、約5⽇で最⻑14⽇程度です。
感染者の症状としては、最も特徴的なものは発熱と強い倦怠感です。また咳、筋⾁痛、呼吸困難などが⽐較的多くみられ、他には嗅覚味覚異常、頭痛、喀痰、⾎痰、下痢、嘔吐などを伴う例も認められます。⼀般的に呼吸困難を認める場合は肺炎を発症しているものと推測されますが、上気道炎の症状(咳、鼻水等)が主体であっても肺炎の存在が確認される例や、1週間以上の上気道炎症状が続いた後に肺炎が 出現する例もあります。
(参照:⼀般社団法⼈ ⽇本環境感染学会 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第 2 版改訂版)
・コロナウイルスと妊娠に関する情報(2020/4/18現在の情報)
① コロナウイルスと妊娠の関係は?
妊娠初期のコロナウイルス感染における児への影響は明らかにはなっておりません。
しかし現時点で、COVID-19 感染による催奇形性や流産、死産のリスクが高いとする報告はありません。一定の頻度で子宮内感染を来す可能性が報告されています。
② 妊婦はコロナウイルスに感染しやすい?
妊娠中は免疫が弱まり感染しやすくなる可能性があるという情報がありますが、不正確な情報です。諸外国のガイドラインによると妊娠中の感染リスクは通常の人と変わりないです。しかし、妊娠後期には子宮の腫大、横隔膜挙上の影響により肺炎などが重症化する可能性があるという考察があります。
(参照:CDC/ACOG/RCOG)
・予防法
感染対策上重要なのは、まず呼吸器衛⽣/咳エチケットを含む標準予防策の徹底です。基本的に誰もがこのウイルスを保有している可能性があることを考慮して予防策を行う必要があります。手洗い、うがい、アルコール消毒を常に心が、またウイルスが付着した可能性がある⼿で⽬、⿐、⼝の粘膜と接触するのを防ぐことが重要です。
(参照:⼀般社団法⼈ ⽇本環境感染学会 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第 2 版改訂版)
・治療法
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、現在、有効性が証明された治療法はありません。ただし、 抗HIV 薬のロピナビル/リトナビル、抗インフルエンザ薬のアビガン、エボラ出⾎熱の治療薬として開発された レムデシビル、および吸⼊ステロイドの喘息治療薬であるシクレソニドなどが治療薬の候補として挙がっており、今後の検証によって効果が証明されれば治療薬として⽤いられる可能性があると思われます。
(参照:⼀般社団法⼈ ⽇本環境感染学会 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第 2 版改訂版)
2020/4/19
小塙医院/つくばARTクリニック
理事 小塙理人