年末年始における新型コロナウイルス感染拡大防止のためのご案内
新型コロナウイルス 感染拡大
日本では新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は未だに落ち着いてはおりません。
年末年始と忙しくなり、人と接触する機会が増えると思われますが、今一度、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報の復習と、感染を予防するための「ニューノーマルな生活様式」の見直しのため患者様皆様に情報を提供させて頂きます。
現在(2020/11/4時点)は日本でのCOVID-19での全体の死亡率は1.7%とされています。
また、1人の感染者が平均して何人に直接感染するかという基本再生産数(R0)は、1.4~2.5とされています。
症状発現日がウイルス排泄のピークとされていますが、12.3日前からウイルス排泄されているという報告があり、やはり無症状者からも感染するリスクがあることが分かります。
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5
https://jeaweb.jp/covid/glossary/index.html
これらのことからCOVID-19をどう考えるでしょうか?死亡率は1.7%、つまり100人に1人以上は死亡するウイルスが1人から1.4-2.5人に感染を拡げます。極めて感染力が強く恐ろしいウイルスであるということが再認識できると思います。
感染の様式としては、ウイルスがACE2受容体に接続し細胞内に侵入し、RNAを放出しウイルスを複製し、再度細胞外へ放出するというメカニズムがあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000657302.pdf
また、COVID-19はRNAウイルスであり変異が確認されています。日本でも第一波はEU型であり、第二波はさらに変異したものが原因である可能性があります。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9586-genome-2020-1.html
したがってこの変異するCOVID-19に対しては適合するワクチンがなかなかできないと考えられますが、最近ではワクチン製造成功の報道もあり期待はしたいと思います。
症状としては発熱(98%)、咳(76%)、筋肉痛・倦怠感(44%)が三大症状と言われています。
検査に関しては抗原検査、抗体検査など出てきましたが、やはりPCR検査が感度・特異度ともに高く信頼性があります。
また最近では鼻腔ぬぐい液によるセルフでの検体の自己採取が可能となっております。
鼻腔ぬぐい液検査は飛沫発生を防ぐという利点があります。
左:セルフで可能な鼻腔ぬぐい液検査
右:従来の、鼻咽頭ぬぐい検査
https://www.roche-diagnostics.jp/ja/media/releases/2020_7_31.html
感染の予防についてですが、やはり手洗いが重要です。
下記の手洗いを実施することで、手指に付着したウイルスは確実に減らすことが出来ます。
ハンドソープで最低10-30秒もみ洗い後に流水で15秒すすぐことでウイルス量を手洗いなしと比べて0.01%まで減らすことが出来ます。
またマスク着用の有効性が論文で認められています。
ドイツの研究では、マスクを着用することは、コンプライアンスのある人々がお互いをより積極的に認識し、他の感染対策行動(ソーシャルディスタンス等)の順守にも関係しており、向社会的な意思を示していると論じています。
https://www.pnas.org/content/117/36/21851
また、イランの報告ではマスク着用者は非着用者に比べて顔に触れる回数が圧倒的に減り感染予防になると結論付けています。
https://europepmc.org/article/med/32798630
また、どんなマスクがいいのかという疑問もあります。
家庭用布マスクと医療用マスクを比較した文献が多数あり、その中でも11の研究をまとめて考察したレビューによると、布製マスクは、飛沫やエアロゾルによる汚染や感染に対してある程度の保護効果を提供するようです。公共の場での布製マスクの使用は、着用者を保護し、同時に感染拡大を減少させることできる有用な公衆衛生対策であることが示唆されています。
また、今後年末年始に数人で集まる機会がある際には改めて感染防止対策やクラスター発生リスクを意識する必要があります。
クラスター発生は5人以上を目安とされており、改めて3密を避けることが必要なことを強調します。厚労省が提示するように、大人数での長時間の懇親会やマスクなしでの会話は感染リスクを上昇させる可能性があります。
スタンフォード大学の報告によると、会話した際の飛沫は停滞した空気環境では8-14分空気中に留まり、新たなウイルス感染を生み出す可能性が示唆されています。
やはり換気のない密閉した空間での大声の会話は感染拡大のリスクとなると言えます。
https://www.pnas.org/content/117/22/11875
ここにきて東京、大阪など都市部ではCOVID-19感染者が増加傾向です。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
茨城県では新規感染者数は著名な増加はなく一定数で推移しておりましたが、11月11日土浦市のクラスター発生等により新規陽性者数は前週比250%超、県南地域を中心に感染拡大と判断し、stage3へ引き上げとなりました。
https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/kaiken201111.html
茨城県でも感染再拡大が発生している可能性があります。今後年末年始になり人の移動が増えたり、会食が増えたりする時期ですのでさらなる感染拡大のリスクはあると考えられます。
当院を受診される患者様はもちろん、本記事を読んでくださった方には今一度、新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威および感染拡大防止の重要性について考えて頂き、心身ともに健康な状態で不妊治療に臨んでいただけることを願っております。
私達スタッフも感染拡大防止対策を徹底し、よりよい環境で、安全なクリニックとして皆様に医療を施すことができるよう努めてまいります。
また、インフルエンザとの同時流行についても懸念されております。インフルエンザワクチン接種に関する情報はこちら
医療法人小塙医院/つくばARTクリニック
理事長 小塙清