卵子の老化
Q:
不妊歴10年の妻41歳、夫45歳で、体外受精と顕微授精を計10回受け、2回妊娠しましたが流産でした。主治医は卵子の老化で今後の見通しは暗いと言います。卵子の老化とはどういうことですか。
A:
女性は胎児のころ(5カ月ごろ)から卵子がつくられ始め、出生直前には卵巣内に100万~300万個の卵(原始卵胞)を持つといわれています。しかし、出生後から原始卵胞は減少し始め、個人差はありますが初潮のころには出生時の10分の1~100分の1まで減ります。
そして下垂体ホルモンの働きで思春期のころから妊娠する卵に成長しますが、極端に減少して30代で原始卵胞が枯渇し早期閉経になる人や、染色体異常で最初から卵子がつくられない人もいます。
卵子の老化は36歳以降に急激に進みます。老化とは卵子の減少ほか、加齢により卵子そのものの機能が衰えることです。そのため体外受精の際、排卵誘発剤が効かなかったり採卵率や受精率、着床率はすべて下降し、逆に流産率は上がっていきます。
昨年1年間の当院の体外受精成績では、25~29歳が妊娠率53.8%、流産率0%に対し40~42歳では妊娠率19%、流産率は43.8%とほぼ二人に一人が流産でした。
それは老化で卵子の外側が硬くなって精子が進入しにくくなる上に卵子内部の細胞も変性して染色体異常を来しやすくなるため高齢になるほど流産が増えます。しかし、老化がゆるやかであればアンチエイジングで改善の余地はありますが、老化が激しいと1年以内に閉経する恐れもあります。